星空刺繍


近藤君を好きだから、問題はないと思う。
考えただけで怖くても、それは彼氏が解消してくれるんだと分かってる。


性格が悪い里緒菜が言うには待たせすぎらしいし、口煩いお姉ちゃんが言うには遅すぎるらしいし、

ナルシストな愛美が言うには大事にされすぎらしいし、

正直、私も近藤君に我慢させすぎだと薄々感づいてはいた。



どのくらい二人の関係が良好かというと、

寝癖みたいなパーマを微妙にかけてるのは凄い似合ってるけど、

なんとなく男子には鏡の前にいる時間は歯磨き以外は短くあってほしくて、

付き合って初デートの日、どうやってヘアセットしてんのか気になってるって質問してたら、答えはまさかで、


『お風呂ん後にタオルでむちゃくちゃに乾かしてー、寝て、朝。

手の平にワックス馴染ませてから、ごめんなさいするみたいに頭下げて適当にガーってやって、頭戻したら完璧。

一分もかかんね、三十秒? 楽だよ。顔が良いからなんでも似合うんです』と、


つまらないオチで自ら笑うところに、めちゃくちゃ好感度が上がった。

そういう波長が好き。



愛美や里緒菜やクラスの子、中学校の同級生、皆の話を聞く限り、

それは皆が通る道なのに、

精一杯両思いな二人だし、そうなるクリスマスを誰にも咎められないのに、

こんなにも躊躇うのはどうして?



彼氏の夢が詰まった瞳が恥ずかしくて、あの日先に目を逸らしたのはヘタレな私だ。