鼻につくツーンとした匂い。
耳を塞ぎたくなる位大音量で流れている音楽。
目の焦点のあってない数人の男逹。
「やっやめてッッ!」
口元が笑う。
それから後頭部にズシっと何かで殴られた。
それからの記憶は無い。
ただまたこの公園に捨てられただけ。
それから自分の足で産科婦人科の病院に行った。
親は互いに自分で言うのもあれだけど。
社長だ。
皆は羨ましがる。
確かにほとんど不自由無い暮らしだ。
だけど家には二人共ほとんど帰ってこない。
兄弟は上にいるけれど家を出て独立してる。
だから家にいるのは一人の状態が多い。
そんなこんなだから、レイプされたって気付いてもらえない。
勿論自分で言い出せる程強い訳でもなく。。。
「春川?どした?」
全身中が震えていたのに岡山に言われてから気が付いた。
「何?大丈夫?俺で良ければ話してみ?」
その瞬間、心に積もっていた色んな物がスーっと消えていった気がした。
それと同時に目には涙が溜まっていて、それが一気に頬をつたってきた。
訳が分からない岡山は混乱している。
恥ずかしい。笑わなきゃ。
「あ・・・れ?何で涙?」
思う様に言葉が出て来ない。
無理して作った笑顔は意図も簡単に崩れてしまいそうだった。

