「ここっ!私の家、ここです。」
柊くんが先々行くので私がそう叫んだ。
「ここ…?だってここ、永野じゃない…。」
柊くんがポツリと嘆いた。
私の上の名前、知ってるんだ。
って、そこじゃないよな。
「だって柊くんが歩くの早いんだもん…。」
「え……?……え?!」
柊くんが目を見開きにして私をみる。
「かわいー。」
なんて言いながら。
「一回黙ろっか。」
それから柊くんは本当に黙ってしまった。
「ここ…です。」
つい、敬語になってしまう。
「ばいばい、ナナちゃん。」
「ばいばい。」
そして家に入ろうとしたとき、

