陽が登り始め、夜が明けた。

ゆっくりと部屋を暖色に変えて行く日の出を俺達は窓越しに望んだ。

日の光がまるで堕ちていった筈の俺達を包むかの様に強く眩しく照らしていく。

「あ…」

麻里はその光を見てふとゆっくり立ち上がった。

「どうした?」

「雪が、止んでる。」

そう言われて俺も気がついた。

確かに雪は止んでいた。

眩しい日の光が見えているのに、どうして気がつかなかったのだろうか…

日の光は空の青をところどころ灰色に埋める雲の隙間を掻い潜り、何者にも捕らわれる事なく差し込み、冷えきっていた体を暖めてきた。