あるお山の森にちいさなちいさなうさぎが住んでおりました。
うさぎは生まれた時から体がとてもちいさく、力も弱かった。
木の上に実った果物をとることもできないうさぎだったが、だれよりも優しく思いやりのあるうさぎは森中の動物達に好かれていた。
うさぎが木の実がとれず、しょんぼりしていると、リスがひょいと木にのぼり、木の実をとってうさぎにくれる。巣に持って帰る薪や石を運べず困っているとクマが手伝って巣まで運んでくれる。
うさぎは他の動物達が自分を助けてくれる度にそれはそれは嬉しそうな笑顔を浮かべ、何度も何度もお礼を言った。
うさぎも体が小さく力も弱くても他の動物達の役にたてる事があればすすんで手伝った。
うさぎは森中の動物達みんなのことが大好きだったし、森中の動物達もうさぎのことが大好きだった。
しかし、ひとりだけ、そんなうさぎをいつも馬鹿にして意地悪をするものがいた。
おおかみだった。