少しの睨みあいの末耐えかねた俺は目をそらした。



「…まあいいや。その代わり、栄の宇宙を見せてよ。」



その代わりってどの代わりなんだ?



「…良いけど」



別に俺のものってわけじゃないし。



「じゃあ、はやく行こう!」



初は俺の手をつかみ、塩素のにおいがするプールの中心部に行った。



そしてゆっくり、深く息を吸い込んだ。



俺も慌てて息を吸い、手をつないだままプールに潜った。



文字通り二人きりの世界があった



俺は初と俺の少しづつ吐き出される二酸化炭素が上に昇る様子を見つめた。



プールの底に寝ころんでいるからお互いの姿は見えなくて



いつもと何ら変わりないのに、手から伝わる初の体温がこの小さな宇宙の全てを変えた



日が傾き始めたので、青い宇宙が赤く染まり始めていた