流行りの重めショートボブは、担当のヤスさんにも好評だった。

途中で何度も20センチ以上も髪を切る理由を問いただされたけど、好きな人に振られて、なんて格好悪いセリフ言えるはずもなく、鏡の中に映る変わっていく自分をじっと凝視しながら適当に誤魔化し続けていた。

ハサミの音と髪の毛がケーブに落ちる音が、恋が終わりを告げる音なのかと錯覚しそうになった。