黒めがね

私はいつもと同じ時間にいつもと同じ部屋で目が覚めた。

ぎりぎり生活感が感じられるその部屋はとても女の部屋だとは思えないほどに散らかっている。



・・・寒くなったな・・・



もう11月も終わりに近づいて、朝は布団から出られないほどに寒い。

だるい体を無理やり起こして学校へ行く準備をする。

最近洗ったばかりでまだ洗剤のいい香りのする制服を着る。

お母さんが作った朝ごはんをストーブの前でニュースを見ながら食べる。

給食までもつように沢山食べる。

私は中学3年生。とても女の子らしいとは思えない。美人でもない。



「いってきます」

朝の忙しい音にかき消されたその声に返事はない。

そのままドアを閉めて学校へ行く。



学校に着くまでの間、私は1人でいろんなことを考える。

100万円あったら何に使うかとか、時には「私は今時速何キロで歩いてるんだろう」とか。

決して友達がいないわけではない。近くに住んでいる人自体がいないだけ。

私が通っている中学校は「中部中学」だ。その名のとおり生徒数は多く、この地域の中心にある。



大きい道路も校区内にあるし大型のデパートもある。駅だって。

なのに私の家、佐倉家だけは周りに田んぼだけのど田舎にある。自転車で15分も漕げば駅に着くような場所なのに、謎だ。

しかも家の前は坂になっていて、友達は「自転車で上るのはキツイ」とあまり遊びに来てくれない。

でも、この場所は嫌いではない。むしろ大好きだ。大声で歌っても、夜に大騒ぎしても、誰の迷惑にもならない。最高だ。



学校の前の道に、先生が立っていた。

「おはようございます」

「おはよう!!」



朝から元気な体育の先生。

先生が立っていると、遠回りをして横断歩道を渡らなければいけない。

この道を横切ってしまったほうが近いけれども、先生はそれを許さない。
1回、遅刻しそうな時によりによって先生が道に立っていた。
本当に時間が無かったので道を横断する為に
「危険を冒して物事を成し遂げることで子供は成長するものだと思うんです!!」
と、先生の説得を試みた。が、むしろそのせいで遅刻した。
しかも悪気は無かったようだが集会で話題にされ本気で殺意を抱いた。

と、まぁこんなトラウマがあるという話。