一番星の愛情物語

「いろはさん、どちらが良いですか?」


「お座敷で。あと、ほうじ茶も」


「かしこまりました」


仲居が案内をすると、やや広めの個室でした。


「ご注文がお決まりになりましたら、そちらの鈴を」


そう言って、仲居は立ち去りました。


いろはさまは、お手拭きと小皿、お箸を手早く用意しました。


「いろはさん、何を食べましょうか」


嗣実さまは、お品書きをいろはさまに手渡しました。


「イカ、エビとエンガワ、アワビを取り敢えず」


「分かりました」


丁度仲居がほうじ茶を持ってきたので、嗣実さまは注文しました。


「疲れていませんか?」


いろはさまは、心配そうに嗣実さまに尋ねました。


「これくらいはなんとも。少し早いですが、夏休みは海外に行きましょうか」