一番星の愛情物語

「可愛いね、君。こっちにおいでよ」


いかにも軽い少年が、スッと椅子を引いた。


「わたし、あなたに興味はわきませんけど」


「そう?なら、頑張っちゃおうかな?」


少年が、いろはさまの腰を引き寄せました。


「何をなさるんですか!」


少年は口元を緩めました。


「へぇ~。いかにも育ちがいいって感じ。お嬢様はいいよな、気楽で。庶民が汗水働いた金で、豪遊してるんだし?」


いろはさまは、顔を歪め、脳裏にはご自身のお父さまの笑顔が浮かびました。


「なんにも……何にも知らない人に言われたくないわ!上に立つのが命懸けだってことも。家族が悲しむ事があるってことも!」


いろはさまは、少年を睨み付けました。


「あなたは、人の命を守る責任、なんて知らないんでしょう!」