一番星の愛情物語

「え。あ!蒼一さん」


「どうぞ」


運転手が恭しくドアを開けて、蒼一さまの隣にいろはさまは座りました。


「敵情視察ですか。いろはさんも中々策士ですね」


蒼一さまは、さらっと言いました。


「そう言う訳じゃ……」


「田中先生は結婚を控えています。復縁は無理です。……僕から見ても、嗣兄は拒否するでしょうね。もう、無関心ですから」


いろはさまは、瞬きをされました。


「大丈夫です。嗣兄の溺愛ぶりは、見ていて分かります。安心してください」


いろはさまは、苦笑しました。


「でも、会えないって」


「それは……すぐに分かりますよ。ご自宅に送りますね」


車が出発し、蒼一さまは、嗣実さまに関する情報を色々、いろはさまに伝えました。