佰宮家は、財閥の中でも中級に属し、不況の煽りを受けやすい事業を展開しています。


壱星家では、嗣実さまの二番目の弟君が関連している事業でもあります。


「折り入ってお話とは……?」


他愛ない話を何回かした後、佰宮会長が切り出した。


嗣実さまは、穏やかな笑顔で話を始めました。


「いろはさんとご縁談を進めたく、今日はお願いに上がりました」


佰宮会長は、飲んでいたお茶を吹き出してしまいそうになりました。


「い、いろは……ですか?いろはは確かに我が家の娘に違いありませんが、まだ未成年ですし」


嗣実さまは、笑顔と共に続けました。


「父は十八で結婚致しましたし、妹でも十六で嫁ぎました。何の障害にもならない、と私は思っております」