一番星の愛情物語

いろはさまは、軽く頭を下げました。


「栢宮いろはと申します。少しお時間を頂けますか?」


田中さまは、微笑み、休憩室に案内してくれた。


「何か飲む?」


「ミルクティーを」


田中さまは、いろはさまにミルクティーを手渡し、ご自分にはホットレモンを購入されました。


「お話って?」


「壱星嗣実さん、の事で」


田中さまは、瞬きをして、口元を緩めました。


「相変わらず、高校生が好きなのね。嗣実先生は」


「嗣実さんの事、もう無理なんですか?やり直しはできないんですか?」


田中さまは、口元を緩めました。


「無理ね。わたしはもう愛している人がいるし。……栢宮さんのように、財閥としての心構えが十年前にあったら、また変わっていたかもしれないけど」