一番星の愛情物語

いろはさまは初日を終えて、事務所の入口に向かうと、嗣実さまが立っていらっしゃいました。


「お疲れさまです」


「お疲れさまです!どうしたんですか?」


「できるだけ送り迎えをしようと思って。お腹、空いたでしょう?取り敢えず、ご飯を食べに行きましょうか」


花月が車のドアを開けて、いろはさまが乗り、続けて嗣実さまが乗りました。


「平日は忙しい時もありますから……」


嗣実さまは、何かを説明していますが、いろはさまは、半分うつらうつらとしていて、聞こえません。


「……ですので、……は会えません。いろはさん?」


いろはさまは、ビクッと体が揺れました。


会えない、と言う意味だけが、いろはさまの脳裏に焼き付きました。


やっぱり、前の彼女を……。