いろはさまは、息を切らせて出ていらっしゃいました。


「お待たせしてしまい、申し訳ありません」


「大丈夫ですよ。さて、次はどこに行きましょうか」


嗣実さまがいろはさまの手を恋人繋ぎにすると、いろはさまは嬉しそうに微笑みます。


嗣実さまも自然と笑顔になりました。


心が暖かくなる……。


嗣実さまは、冷えきっていた心の芯が、ジワジワと溶けていくのを幸せに感じていました。