一番星の愛情物語

いろはさまは、頬を赤く染めました。


「そんな、不足なんて」


「ウサギさんは二匹でないと寂しいでしょう?私たちに妬いてしまいます」


いろはさまは、瞬きをして、数回頷きました。


「母がお茶をと」


「は、はいっ!」


いろはさまは、紙袋を持って、嗣実さまの後ろに立ちました。


「いろはさん、こちらに」


嗣実さまは、いろはさまの右手を軽く握りました。


「後ろではなくて、横に並んで下さい。できれば、左側に」


いろはさまは異論がなかったので、頷きました。


「では、母家に」


「は、はい!」


母家は嗣実さまのお部屋から、歩いて二十分程かかります。人により、車を使われたりなさります。お子さまですと、自転車やインラインスケート等も使います。