すぐにいろはさまが出て来て、嗣実さまをご自分の部屋に案内されました。


「これ、皆さまで」


「そんな。気を使わないで下さい。今、お茶を」


いろはさまは、手早くハーブティーを入れました。


「今日は会えないと思っていたので、ビックリしました」


いろはさまは、そっとティーカップを嗣実さまの前に置きました。


「すぐに済みましたから。明日は、初めてのお泊まりですね」


嗣実さまは、ニッコリ微笑みました。


いろはさまは、頬を赤く染めました。


「父も母も、いろはさんにお会いするのを楽しみにしています」


いろはさまは、瞳を潤ませて、嗣実さまを見上げました。


「わたし、不安です……。まだ未成年だし……」


嗣実さまは、目を細めて、いろはさまの頭を撫で、そっと手を重ねました。