嗣実さまは、さきはさまの事を運がいい、と感じていました。


朝食を摂りながら、さきはさまのご主人の情報を見ていました。


「嗣兄、怖い」


三番の弟君であり、五男の慧里(けいり)さまが一歩後ずさった。


「ああ、慧。これ、仕事。できるだけ、いい仕事して。私のモノの身内が絡んでるから」


慧里さまが書類を受けとると、表情を歪めた。

「花園コーポレーション?め、めんど……」


「慧里?何のために弁護士になったのかな?」


慧里さまは、軽く息を吐く。


「はいはい。って、嗣兄っていつ好きな人できたんだ?」


「先日のパーティー。出て正解だった。本当に可愛いよ、いろはは」


嗣実は口元を緩めた。


慧里さまにしてみたら、いろはさまが気の毒に思えてならなかった。