嗣実さまは、いつの間にかいろはさまと手を繋いで、歩いていました。


いろはさまも、離そうとはなさいませんでした。


「まぁ、中心からは離れてますから」


「緑が多くて、空気が気持ちいいです。私も、少し体を鍛えないと」


いろはさまは、首を傾けました。


「無理しない方が」


「こどもも抱けない父親には、なりたくありませんから」


ボンっといろはさまの顔が赤くなりました。


「あ、あの……」


「私はその手の事が疎いので、色々勉強しておきますね。いろはさんを満足できるように」


いろはさまは、ドキドキと心臓の鼓動が、手から伝わらないか心配になっています。


「あ、焦らなくても……わたし、まだ学生ですし」


「できれば卒業までには入籍を。卒業した年には式を、と考えています」