いろはさまは息を切らせて、自宅の道のりを歩く。


なんだか、悔しい。


結婚って、愛し愛されじゃないの?


いろはさまは、ふと立ち止まった。


嗣実さんはわたしを好きじゃない。


でもわたしは?


いろはさまは、笑顔の嗣実さまを脳裏に浮かべると、キュッと胸が痛む。


「ち、違うし」


いろはさまは、ブツブツ独り言を言いながら、自宅に向かう。


「いろは~」


いろはさまが振り返ると、よく知る人物がいました。


「みっち。久しぶり」


「隣に住んでるのに、中々会わないね。んで、珍しく暗いじゃん?うち、まだ両親いないし、おいでよ」


いろはさまは頷いて、人物の後をついて行きました。



「す、スケールが大きいけど……相手はいろはを嫌いとは言ってないんだろ?」