嗣実さまは、続けました。


「勿論、人間的だけでなく、私を夫として愛して頂かないといけませんが」


いろはさまは、俯いて、イチゴタルトをツンツンとフォークで突いた。


「じ、じゃあ、わたしでなくても、わたしより綺麗で可愛らしくて、思いやりがあって、嗣実さんを好きな人を探せばいいじゃないですか」


いろはさまは、声を若干振るわせながら、言った。


嗣実さまは、首を傾けた。


「いろはさん?」


「嗣実……壱星さんは、絶対に結婚には向いていません!」


いろはさまは、財布から紙幣を取り出して、テーブルの上に置いた。


「も、もうお会いしたくありません!さようなら!」


いろはさまは一方的にいい放ち、ファミリーレストランを走って出ていった。