一番星の愛情物語

「今度、パーティーがあってね。いろはさん、今回はネイルもしたいそうなんだ。予約を入れたい」

嗣実さまの言葉に、操さまは慌ててサロンの事務所に戻り、予約ファイルを取り出しました。

「いつがよろしいですか?」

「今週の土曜日の朝がいいんだ」

操さまは軽く頷く。

「午前中ですね。空けておきます。伯宮いろはさん……ですよね。嗣兄さまもすみにおけませんね」

操さまは口元を緩めました。

「いろはさんの事になったら、なんでも利用するから。じゃ、土曜日に」

「分かりました」

操さまはクスクス笑いながら、予約ファイルに書き込み、パソコンに入力しました。

「壱星部長、ご予約ですか?」

ネイルサロンの主任をしている女性が近付いて来た。

「兄が婚約者の為にね。婚約者が若いから、ネイルとか興味あるのも分かるけれど」

主任はニコニコと笑う。

「春ですからね。デザイン、ピックアップしておきますね」

「お願いします。そうね、大和撫子みたいなお嬢様だから、桜メインのデザインがいいでしょう。いくつか用意しておいて下さい」