「お礼をしたいので。私(わたくし)も仕事がありますし……」


青年は名刺を見て、ニヤッと笑った。


「ステーキでもごちるかな」


「はい。考えておいて下さい」


操さまは頭を深々と下げて、仕事先に急ぎました。



「遅くなりました」


「操さん!どうしたんですか?」


従業員の一人が、慌てて駆け寄って来た。


「ちょっとトラブルがありまして。すみません、新入社員がはいる日なのに」


「今紹介しますね。ネイルサロンの新人がこの三人で、カットサロンが一人」


カットサロンの方から、見たことのある男性が駆け寄って来た。


「あっ」


先程、助けてくれた青年だった。


「お知り合いですか?」


従業員が、操さまに聞いてきました。