「大丈夫ですか?」


柔らかい物腰で、操の前にスーツ姿の青年が立った。


「え、ええ。ありがとうございます」


「このジジイ、連れて行くから。お前は初日から遅刻は不味い。先に行け」


優しそうな男性は、操さまに軽く頭を下げ、急いで立ち去った。


「ほら、行くぞ」

言葉が乱暴な青年に促され、構内の防犯コーナーに連れて行った。


簡単な説明等をして、解放された。


操さまは、乱暴な口調の青年に頭を下げた。


「ありがとうございました」


「俺に言うより、連れに言えよ。あいつが見付けたんだし。手を出すと、初出勤に迷惑がかかるから、俺が引き受けた」


操さまはカードケースから名刺を差し出した。