いろはさまは笑顔で頭を下げました。


「お世話になりました。またよろしくお願いします」


いろはさまは車に乗り、次の場所に移動となりました。


いろはさまは軽く息を吐きました。


「緊張されていますか?」


普段は喋らない、花月が口を開きました。


「え、あ、はい」


「大丈夫ですよ。今日はいろはさまと嗣実さまの婚約を公にする日です。堂々とされていれば良いのです」


いろはさまは、左手を見ました。


「嗣実さんは、わたしのどこが好きなんでしょうか」


花月はチラッとミラーを見て、口を開きました。


「周りを元気にしてくれる優しさと暖かさですね。月は誰かに光をもらわないと生きていけません。嗣実さまは、今まで微かな光で生きていました。そろそろ限界でしたし」