一番星の愛情物語

嗣実さまは微笑み、頷きました。


「妹がお世話になっています。壱星嗣実です。実の兄だと思って、こきつかって下さい」


みつきさまは、ニヤニヤと笑いました。


「いえいえ。じゃ、遠慮なく名声をおかりします」


「みつきちゃん……」


いろはさまは、呆れるように言いました。


家の中に入ると、さきはさま、さつきさまも揃っていました。


「いらっしゃいませ。嗣実さん、お祖父様がお待ちかねですよ」


「そうですか。申し訳ありません。どちらにいらっしゃいますか?」


「こちらです」


使用人が案内し、いろはさまはぼんやりと嗣実さまの背中を見送りました。


「あ~!いろはちゃん、うさまる!このクジ、中々当たらないんだよ~」


みつきさまが、羨ましそうに覗き込みました。