「ケーキ代なら払わない!」


「いろは!嗣実さんは、お前との縁談を進めたいとわざわざいらして下さったんだ」


祖父の言葉に、いろはさまは、少し申し訳なさそうに軽く頭を下げた。


「いろはさんには好いている方はいらっしゃいますか?」


嗣実さまは、やんわりと聞きました。


「い、いえ」


「私と暖かい家庭を築くという未来を、考えて頂けませんか?ゆっくりで構いません」


いろはさまは、モジモジとしていた。


そこに、ラッピングした包みを嗣実さまは取り出しました。


「私の手作りですが、良かったらお召し上がり下さい」


いろはさまは、頬を赤く染めて、両手で受け取った。


「じ、じゃ、お互いを知るところ、から」