「助けて下さい…甲田先生。」




俺の包帯を巻き終えた進藤先生は、頭を抱えこんで下ばかり見ていた。




これは相当追い込まれてるな…。




「もう解らないんです、どうしていいのか。どうする事が正しいのか。」




「…何があった?」





「横井さんとただ話してただけなんですけど…何か急に抱き締めたい衝動にかられてしまって。


…気がついたら力強く彼女を抱き締めていたんです。」





なるほど、本能が働いたわけだ。




でも、それは横井にとっては嬉しい事じゃないのか?




進藤先生はあいつの好きな人であって、近づきたい存在だろ?




なんであんな取り乱して泣いていたんだ…?





「もしかして、まだ続きがあるのか?横井を泣かせるような事が。」





少し低い声で進藤先生に問いかけると、バツが悪そうな顔をしながら小さく頷いた。