「き、聞いてますからぁ!!離してください!!」



鍵を持っている手が震える。



先生に触れられている部分が熱くなって、どうしようもなくドキドキする。



「…仕方ねぇなー。」



そう言いながらしぶしぶと私から手を放す先生の声は、少し甘みをおびているように感じる。



「もう鍵閉めたのか?」



「え…あ、はい。」



さっきまで震えていた手の中にある鍵を、そのまま鞄の中へとしまう。



「じゃぁ行くか。」



「え?」



「おいで…伊緒。」



「っっ!!」



自分で顔が赤くなるのがわかる。



少し笑みを浮かべながら私に手を差し伸べている先生を、恥ずかしくて直視できない。



「聞こえない?おいでって…。」



「あっっ…!!」


動かない私を、先生は少し強引に引っ張ってみせた。



そして、そのままされるがままに車へと連れていかれた。