部屋の隅に置いていた足を、もう一歩前へと出す。







高鳴る胸の音を必死に隠しながら、先生の目と自分の目を合わせる。







「私…ずっと…先生の事が……っっ」






頭では何度も繰り返し流れているのに、口に出す事がなかなか出来ない。






モヤモヤして、ドキドキして、頭の中はもうグチャグチャ。







いつもはスラッと言えるのに、今日はどうしても時間がかかってしまう。







「片瀬?俺の事が何?」







「――――っっ!!」








さっきまでのワクワクした子供の顔とは全然違う、真剣な大人の顔が私を見つめてくる。






改めて相手に気持ちを伝える事って、こんなにも大変なんだね。







どうしようもないくらい緊張して。






「……好き、です。」








悲しくもないのに、涙が溢れそうになってしまうんだ…。