寂しい。
悲しい。
嬉しい。
幸せ。
沢山の気持ちが混じった、今しか感じられないもの。
それが、静まり返った瞬間を合図とするように、こみ上げ始める。
「あ――っもうっ!!何でそんな最後に泣かすような事言うんだよっ!!」
「そうだよ!!ずりぃよ先生っっ!!」
普段は反発的で騒がしい男子も、今日だけは特別。
皆と同じように別れを惜しんでいるように見える。
「あははっ、君達は何を言っているんですか?僕は最後だから言ったんですよ?皆さんの泣き顔はレアですしね。」
「うっわっ!!先生ドS!!」
「いえいえ、そんな事ありませんよ。君がドMなだけじゃないですか?」
「えぇっっ!!!?」
進藤先生は空気を読むのが凄く上手い。
泣いてる時は涙を誘うような事を沢山言うけど、所々に笑いもくれる。
わかりにくい優しさだけど、きちんと感じれる優しさ。
…そういう所、甲田先生と似てる。
「…あ、そういえば。皆さんに一つ言い忘れた事がありました。」
進藤先生と男子生徒との絡みで笑いに包まれている中、進藤先生が再び真面目な顔をした。
「……言い忘れ?」
「何だろうね。」
その顔を見て、生徒達も再び口を閉じて前を見た。

