「ねぇ伊緒。この後少し付き合ってくれる?」
体育館から教室に移動する途中、恵那が歩くスピードを弱めた。
「うん、私は大丈夫だけど…どうしたの?」
三月に入ったといってもまだ寒い気温。
私達の身体に冷たい風が触れる。
「行きたい所があるんだぁ。多分、伊緒が行きたい所と同じだよ。」
「ってことは!!!!!」
「うん、今日言おうと思ってさ。」
私が行きたい所。
それは勿論教官室で。
逢いたいと思っている人は違うけど、目的は同じ。
素直な気持ちを伝えに行くんだ。
「ついにきたんだね。二人が付き合える時がさ。」
「…まだ解んないよ?」
「ふふっ、そうだね。」
なんて言うのは嘘で。
解るよ、絶対絶対うまくいくって。
だって恵那の進路が決まるまで待っててくれたくらいだよ?
大切に想われていないはずがない。
お互い同じくらい相手の事を考えてる。
落としていたスピードをもう一度戻し、足早に進んでいく。
「今日で最後か……」
「うん。伊緒とも中々会えなくなるんだね…。」
「………うん。」

