これでもかって程に先生の顔を見つめていると、うっすら目が開いた。






「……ごめんな。」







そう言って小さく呟かれた言葉は、私にじゃなく海へと響いていく。







真剣な時のいつもより少し低い声。







目の下にある微かな涙の跡をたどるように一筋の涙が流れていく。








たった一滴流れ落ちた涙は海の光を受けて輝いた。








寂しげで伏し目がちな先生の横顔と輝く涙が重なった姿が、私の目に飛び込んでくる。








「……伊緒?」







かっこいいとか、そういう感じじゃない。







ただ、すごくキレイ。







先生の横顔も、涙も。







何もかもがとにかくキレイで目が離せない…。








「どうした?おい?」








動かない私の頬に先生の手が触れた。







その瞬間、自分の頬にも涙が流れていることに気がついた。








「俺が泣いたからか?」








「あ、いや…違います。先生の横顔があまりにキレイで…」







「ふはっ何だそれっ!!」








「えへへ…」







やっと見れた笑った顔。






今見せている笑顔は偽物じゃないよね?







さっきの真剣な顔もキレイな横顔も好きだけど、やっぱり私は先生の笑った顔が一番好きだよ。