頭にのせていた手を、身体へと移動させる。
起こそうと思ったけど、やっぱりやめよう。
今はこのまま寝かせといてやりたい。
きっと、俺の顔見たら辛くなるだろうし。
伊緒が起きないように、そっと抱き上げる。
そしてそのまま出口へと歩きだそうとした瞬間、伊緒の目が開いた気がした。
「…せんせ?」
「伊緒…目覚め…」
「ごめ…んなさ…ぃ…」
俺の言葉を遮って聞こえてきたのは、予想外の言葉だった。
薄く開いた目は、再び少しずつ閉じていった。
閉じられた目からは、一筋の涙が流れてゆく…。
なぁ伊緒、今お前はどんな夢を見ているんだ?
もしかして、夢の中でも俺の事考えてくれてるのか?

