下に向けていた顔をあげると、そこには先生がたっていた。







「っっ……か、けやさ…」






強く握られている腕の痛みか。






それともこんな姿を見られた罪悪感か。






先生に合わせる顔がなくて、ただ下に視線を戻しながら先生を呼んだ。







早く、一秒でも早く助けて欲しい。







私は先生以外の温もりなんて欲しくない。






少し遠くにいた先生は、どんどんと私達のもとへ近づいてくる。






そして私の手を掴んでから、ゆっくり店員さんへと顔を向けた。







「悪いけど、離してもらえる?」







「は?いきなりなんすか?」







「いいから、さっさと離せ。」









「―――っっ!!」







私の位置からじゃ、先生の顔はよく見えない。






でも声を聞いただけで解る先生の不機嫌さ。






今まで聞いた事がないくらい低い声だ。







「君ここのバイトだろ?あんまり図々しいことしてるとクビにしてもらうけど?」







「…………。」







先生の脅しでやっと解放された私は、そのまま先生に引っ張られ背後に隠された。








さっきとは全く違う、安心する温もり。







やっぱり先生の温もりじゃないと駄目なんだ。