「キス…したくなかった?」





あからさまに焦ってる伊緒に、少しずつ追い討ちをかけていく。





すると、伊緒は握りしめている手の力を強めてから俺を見てきた。





「…やじゃないです。」





「え?なんて?」





「っっだからっ!!先生とのキスが嫌なわけ…きゃっ!!」






照れる伊緒の手を引いて、力強く抱きしめる。





「うん、知ってる。」





そして、耳元でそう囁きながら一人幸せを噛みしめた。





「…もうチャイム…鳴りますね。」





「…そうだな。」





「ね、先生…。」





「ん?」





俺の胸に顔をうずめる伊緒は、ゆっくり深呼吸をする。






「……好きですよ。」






「!!!!!」






それから数分間、チャイムが鳴り終わるまで俺は伊緒を抱き締め続けた。