｢…詩衣、聡美。｣
｢一位とってよーっ｣
うーん、部活のメンバーにも応援されたら頑張るしかないかなぁ。
『…それでは最後に三年生の皆さん準備して下さい。』
大丈夫、落ちついて走ればきっと勝てる。
『よーい…パーンッ！』
音と共に皆が足を上げ、手を前にと動かし出した。
肌に感じる風は生温く、でも何故か不快じゃない。
｢いーおーっ!!｣
｢片瀬さーん!!!!｣
沢山の応援が両端から聞こえて、それがまた私の足を軽くする。
50mを過ぎたあたり、少しずつゴールが見えかけてきた。
でも、隣りとの距離が狭い100m走のコース。
競っていると肩があたってしまうのはよくある事で…
ドンッッ
｢｢!!!!!!｣｣
だけど、まさか自分がそうなるとは思わなかった。
