「せーんせっ、大丈夫ですか?」




「うわっっ!!」




教官室に戻ろうとドアに手をかけた瞬間、頬に何か冷たいものがあてられて動きを止められた。





「傑作でしたよー、先生のこけた姿!!」




「なっ、お前ら…。」




俺の後ろに表れたのは、ジュースをもった伊緒に、ケラケラと笑う横井。




俺がさっきメールしたせいか、二人とも少し息をきらしていた。




…もしかして走ったのか?




「恵那、先に教官室入ってて。」



「え?」



「先生、ちょっといいですか?」



「お、おぉ。」




なんか伊緒のオーラが…え、怒ってんのか?



俺、怒らせるようなことでもしたっけ…。




「来てください。」



それから俺はただ伊緒に引っ張られるがままに校舎裏へと歩いていった。




お互い、一言も発しないまま。




ただひたすらついていった。




もしかして、これはマズイ状況なのかもしれない。




俺いきなりフラれるとか?




まさかそんなこと…「先生。」




「っっあ、はい?」