『それでは、3年生の皆さんと先生方はリレーの準備をお願いします。』



さっきまでここにいた先生は、今はコースの向こう。



身体にたすきをかけて自分の順番を待っている。




鈴原先生、牧先生、進藤先生、そしてまさかの…いや、当たり前に先生はアンカーだ。




「…始まるね。」



「うん。」




私と恵那の手には先生達のジャージが握られている。



誰もが先生のと知らないこのジャージは、今では私達のお守りのようになっている。



先生達のおかげで、私も恵那も不安が和らいだ。



だから、今ではリレーが少し楽しみだったりする。




『よーい…パーンッッッ!!!!』



再び、音と共に大歓声がグラウンドを包んでいく。



目の前で起きているその光景は、あまりに速く動くものだからついていくのが大変だった。



とても同じ人間とは思えない。



女と男ではここまで違うものなのだろうか…。




「あははっ!!鈴原先生意外に速いし!!!」



「確かに…。」



いつもはおっとりしている鈴原先生だけど、今日ばかりは一味違う。



順位も9位中4位と大奮闘しているし…十分すごいよ。