嘘だ。神様はいる。そう言いたかったのに声が出なかった。
「なぁ、ボウズ、ここから先に行っても生きてる人間には会えんだろう。それでも前へ進むかい?」
「会わなきゃいけない人がいるから、行きます。」
「そうか。世界が終わるまでに会えるといいな。」
 そう言うおじいさんを振り返らずに僕は前へと進んだ。何故か涙が出てきた。神様がいないって言われたことが悲しいからだろうか? それとも悔しいからだろうか?
 しばらく歩いていくうちにわかった。おじいさんが言ったことを知らないことが恥ずかしく悔しいからこの涙は出るんだ。