昔、若者はみんなガッコウって言うのに行っていたらしい。勉強するために集められてそこで一定の時間集団生活をする。勉強しなきゃいけないって言うのはやだけど同級生が一度に何百人も集まったら楽しいだろうな。
「まさ、何してんの?」
「別に、考え事。」
「何考えてたの?」
「ガッコウのことだよ。」
 そう言うとゆりはよくわからないと言いたそうな顔をした。
「それ、また難しいこと?」
「違うよ。昔あったもの。」
 ゆりはそれを聞いて呆れた顔をした。
「まさ、私たちは今生きてるんだからね?」
 いつもと同じことを言った。
「わかってるよ。」
「ホントに?」
「本当。ただ昔のものに興味あるだけ。」
 勉強ができる、できないで物事が決まらなくなったのはいいことだと思う。勉強って型にはまっていてあまり応用が利かない。
「ねぇ、明日一緒に川行く約束忘れてないよね?」
「大丈夫だよ。」
「お魚、とれるかな?」
「とれなきゃ、困るよ。」
 昔栄えていた時代はお店にいけば何でもあったと言う。今じゃお店なんてものはない。国へ食べ物を納めて国から支給品を貰う。そのおかげで貧富の差はなくなった。ケイタイやアクセサリーなど生活していくのにあまり必要性のないものまで国はくれる。昔、物を作りすぎてしまったせいだと大人は言った。
「明日、またこの岩の前で待ち合わせだからね。」
 そう言ってゆりは自分の家へと帰っていった。