目が覚めると布団の上にいた。
「ここは?」
 独り言のようにつぶやいた。生きているみたいだ。
「気が付いた?」
「はい……あの……」
 誰もいないと思ったら右隣に立っていたおばさんに話しかけられた。見た感じこのおばさんは看病してくれていたみたいだ。
「ここは私の家。あの地震でも崩れなかった。」
「助けて、くれたんですか?」
 そう聞くと悲しそうにおばさんは笑った。
「間違えて、ね。」
「間違えて……」
 何をと聞こうとして、布団の隣にある写真立てに気付いた。写真には笑顔のおばさんと僕と同じ年ぐらいの男の子。それを見て僕と息子を間違えたことがわかった。
「もうじきここも崩れる。気が付いたなら逃げな。」
「あなたは?」
 聞いてどうするわけでもないけど聞いてみた。
「ここにいる。もう、みんないないからね。」
「…………。」
 かける言葉がなかった。いなくなってしまった家族。……真理。
「あんたはゆりって子を探すんだろ?」
「え?」
「寝言でそう言ってたよ。」
「……はい。」
 見つかるといいねとおばさんは優しい笑顔で言ってくれた。