最期の時に僕は夢見る

 目を閉じると悪夢を見る。そのたびに祈る。だけど、誰も僕を救ってなどくれなかった。
 神様、どこにいるんだ?
 どうして助けてくれないの?
 神様……
「いない?」
 僕は何もない空間につぶやいた。気付くと周りは真っ暗で生きている人間はいなかった。さっきの女の子もいなくなってしまっていた。
「助けて……?」
 何から助けて欲しいのか誰に助けて欲しいのかもわからないけど僕は小声でずっと言い続けた。
「助けて……助けて……助けて……」
 呪文のように何回も助けを求めた。僕は、神様を信じてる。ねぇ、神様は信じるものを救ってくれるんだよね?
「なんで? ……なんで!?」
 ――なんで神様はいないんだ……
 気付きたくなかった。神様がいないこと。
 神様がいないこの世界でどうしたらいいかなんてわからない。けど僕は立ち上がった。
「ゆり……」
 呼んでも出てこない彼女の名前をつぶやいた。それから腕時計を見た。腕時計はベルトの部分が切れもう動いていなかった。腕時計をその場に捨てて僕は闇の中歩き出した。ケイタイの画面の明かりを頼りにしっかりと一歩ずつ進んでいった。