初恋未満

 香川俊哉と僕は幼馴染だった。幼稚園から高校までずっと一緒だった。喧嘩もしたりしたけど、僕は友達として俊哉が大好きだった。
「なぁ、遼二、一緒に英語部やんねぇ?」
 俊哉がそう言ってきたのは高校に入学してすぐの頃。勉強嫌いな俊哉が珍しくそんなことを言った。
「いいよ」
 僕は俊哉と一緒なら正直何でもよかった。
 そして入った英語部にはとても綺麗な先輩がいた。小宮先輩だった。
 それから俊哉と先輩が付き合うまでにはそんなに時間がかからなかった。入学式の部活動説明で先輩を見た俊哉が一目惚れしたという話は後になってから聞いた。
 俊哉は毎日幸せそうだった。
 俊哉にとって先輩は初めての彼女だった。