初恋未満

「あの、先輩は？」
「私？　今日ね、合コンなの」
　こんな田舎で？　と思ったけど、僕が合コンに行ったことないからどうゆう場所でどのようにやっているのかは知らない。
「誰とですか？」
「高校のときの友達の知り合いと。頭数合わせに無理矢理ね」
　先輩は困ったような顔をした。困った顔まで綺麗だな、なんて、僕は関係ないことを思った。
『まもなく……です。お忘れ物のないよう……』
「もう着きますね」
　電車で一駅なんてあっという間だ。僕は立ち上がってドアの前に向かった。
「ねぇ、降りるのやめない？」
「え？」
　僕は間抜けな声を出してしまった。
　先輩はついてきてくれる？　と僕に聞いた。僕は気付けば頷いていた。