「いや、先輩綺麗になりましたね」
「ふふっ。褒めても何も出ないわよ」
 本当に。高校時代から先輩は綺麗だったけど、さらに綺麗になったと思う。本当に誰だかわからなかった。
 いや、忘れたかっただけかもしれないけど。
「千葉くん、今日はどこまで?」
「隣までです。先輩は?」
「偶然。私も次まで」
「でも、この辺だったら大体あそこじゃないですか」
「まあね」
 田舎は田舎に変わりないけど、一駅先は少しだけ色んな店がある。ゲームセンターやファミレスや居酒屋……みんなで集ろうという話になると必ずこの辺りの店で集ることになる。
「誰と待ち合わせなの?」
「中学のときの友達と」
「同窓会か何か?」
「はい」
 僕がそう言うと先輩は嬉しそうな顔をして小さな声でいいなぁとつぶやいた。