嫌々ながら学校に行くための準備をした。

ステンドガラスの嵌め込まれた大扉の外は、予想以上に酷い雨が降っている。


私は雨が大嫌い。

柏原が大きな傘を広げてくれる。
それでも雨は大嫌いよ。

顔をしかめながら車に乗り込むと、執事は満足そうに車の扉を閉めた。






激しく打ち付ける雨音


それでも柏原の運転は揺りかごのように静かに私を運ぶ。

広がった髪をミラーを見ながら直していると、会話もなく学校に到着した。

車から古い校舎までは少し距離がある。

華やかなピンクの傘が用意された。



「いってらっしゃいませ茉莉果様」

「……ほんとは学校なんて行きたくないのに」


柏原は無情にも頭を下げた。

いってこい、という意味ね。

こんなに学校に行きたくない気分なのに、どうして柏原は休ませてくれないのだろう。



「お譲様、学業というものはとても大切なものにございます。学園生活を送る事はきっと貴女の輝かしい未来の役に立つはずです。辛いことを耐えるのも、それもまた学業の一部でございましょう」


「わかってるわよ、いってくるわ。帰ってきたら甘いミルクティとプディングが食べたいわ」


「貴女に相応しい最高級のものをご用意させていただきます」