「失礼ね。私のどこが変なのよ?」


私は至って普通の女の子だ。

類をみない美貌と、誰もが羨む境遇なのは普通とはちょっと違うわよ。

でもそれを抜かせば、普通すぎて何か風変わりな点をあげるのに頭を悩ますくらいに普通よ。


整いすぎた執事の顔を直視できなくなってきた。

見てるとドキドキが加速しちゃうんだもの。




でも、リゾットは食べる。
パクっと頬張り、フイと横を向く。



「まず第一に、よくこの状況で食が進みますね。関心したものです」


この状況?


それもそうね。私とした事が気がつかないなんて……


「柏原、あなた主人と同じソファーに座ってるわ。いい根性してるじゃない?
下りて食べさせなさい」


そうよ執事が私と同じソファーに座るなんて、生意気だったわ。

そこを許しちゃダメよね。

迂闊だったわ。




「かしこまりました。では、お嬢様が高い位置へどうぞ」


すると私の視界が揺れ、体がフワリと浮いて執事の膝の上に着地した。



「ぎゃっ!」


私は、着ていたドレスの裾を必死で押さえる。

パンツが見えちゃうじゃないの! このドレス、丈が短いのよっ!