「浩輔様を招き、屋敷でお茶会を開かれるという意味でしょうか? お嬢様」


「そうよ。他にどうやってお茶するの」


同じ質問を何回もしないで欲しいわ。運転に集中するのもいいけど、主人の話はちゃんと聞きなさい。



私は、『近々、私の家に遊びに来てね。素敵なお茶会にしましょう』と浩輔に返信のメールをした。


本物の執事がもてなすお茶会を、浩輔は喜んでくれるかしら?


当然、喜ぶわよね。浩輔からしてみれば千載一遇のチャンスみたいなものだろう。

最近は人を招待したお茶会なんて開いてなかったけど……柏原のもてなしは最高よ。



「ナツ様はもうよろしいのですか?」


「ナツ? ナツの話はまた別問題でしょ」


柏原はナツがお気に入りなのかしら?

今は、浩輔の話をしていたのに何故突然ナツの話になるのかしら?


だけど、ナツはあなたには興味はないわ柏原

残念ね。あなたに興味があるのは浩輔で、私に興味があるのがナツよ。



「茉莉果様……貴女は本当に教育する甲斐あるお嬢様でございますね。屋敷に、到着いたしました」


柏原は、消え入りそうに小さく呟くと車が停まる。
すぐに運転席から車を降りた柏原は、私の為に扉を開いてくれる。


「夜食をお持ちいたします。部屋でお待ちください」