「茉莉果ちゃん、はじめまして。すごい綺麗だね、会えて嬉しいよ。彼氏いるの?」
浩輔は、スッと近寄り私の肩に手をおく。
その素早いすぎる行動に、少し驚いたけど私はスキンシップは嫌いじゃない。
麗香の悔しそうな顔も、嫌いじゃないわ。
「実は、最近彼氏が出来たのよ」
浩輔の間近に迫る整った顔に優しく微笑む。
すると凄まじい反応を見せたのは麗香の方だった。
「えーっ!? ちょっと聞いてないわよ? 証拠みせなさいよ」
麗香はお尻で浩輔をドンッと横に突き飛ばすと私の肩をガクガク揺らす。
「ナツっていうイケメンよ」
私は携帯の待ち受け画面にセットしていた、初めて過ごした夜の時のツーショット写真を見せた。
ひきつった顔したナツに、私が腕を絡ませて楽しそうに微笑む写真だ。ちょっと緊張しちゃったのよね。ふふ、可愛いわ、ナツ。
「すごっ……本当にイケメンね」
麗香は腐った肉に群がるハイエナみたいな目付きでその写真に食い付く。
親友の初めての彼氏が、イケメンなんて大層悔しいでしょう。
ふふ、今日は本当に来てよかったわ。
「ナツは、顔だけじゃないわ。性格も最高よ? 柏原が嫉妬して、私の事を押し倒してくるくらい素敵な男性よ」
「茉莉果! あんた柏原様にまでに押し倒されてるなんて、どういうことよ! 許さないわよぉ!」
麗香は半狂乱で、私の肩を掴むと前後に揺する。
負け犬の遠吠えね。
あなたごときが、私に敵うわけないじゃないの……
麗香は、これでもかというくらいに肩を揺する。
髪型が乱れちゃうじゃない、こんな時こそ柏原……止めに入りなさいよ!
役に立たないわね!